o

輝ける星(つかるい)

 君の呼び声がする。 ──今日はこれだ。 やっぱり君の声がする。 ──こんなふうにしたいが、どう思う? 気がつけば君で満たされていて、浅ましくも僕は〝もっと〟と、望んでしまうんだ。 ──類。 呼びかけてくる君の声も、瞳も、表情も、全部欲しい…

それこそは必然(つかるい)

 それはある意味では一目惚れだった。 〝神代類〟という存在に対して、絶対に必要だと確信を持ったのはほんの一瞬の出来事だ。 全てに魅了されてしまったかのように、必然とでも言わんばかりにそう感じた。 理由なんてそれで充分だ。 他に何が必要だと言…

薄味の嫉妬と変人の感性(つかるい)

「類。頼みがある」 突然の司からの言葉に、類は不思議そうに首を傾げた。「めずらしいね、司くんから頼み事というのは」 合わせて返された言葉に、司はむぅと唸る。その様子からどうやら苦渋の決断であったらしいことは、想像に難くなかった。「……類が別…

存在に想う(つかるい)

 いつだって君の声がある。 いつだって君の姿がある。 君なしでは成立しえないものしかない。 楽しい──そう、楽しいのだ。 君の存在が僕の想像を超えていく。君という人は本当に面白い。 司くん、そろそろ僕は君なしでは生きられなくなりそうだ。

楽しい、と変わる心境

 ──きっとこれでもか、と言うくらいに全力で祝われるのだろうな。 そんな予感をひしひしと覚えながら、類は迫ってきた自分の誕生日に思いを馳せる。 これまでは言うほど自分の誕生日を心待ちにするようなことはなかったが、劇的なまでの心境の変化だ。 …

ヒーローと僕の幸福(まこはる)

 幼い頃からずっとずっと、遙は真琴にとってヒーローだった。 他人に興味のない様子を見せながらも、その実は優しくそしてその優しさを体現するだけの強さを持っていた。 それはすっかり成長を遂げた今でも変わることなく真っ直ぐ、素直な様には安心させら…

楽しき日(tnzn)

 さほど大きくもない駅の前、それでも従来には多くの人々が行き交い活気にあふれている。急ぎ走り抜けていく者、連れ立って歩いていく者、待ち合わせをする者など様々だ。 そんな駅の改札前にシンプルな上下、肩にはショルダーバッグをかけた姿は動きやすさ…

一人の気持ち、二人の思い(tnzn)

――ああ、何時ぶりだろう。こんな暗くて寒くて、五月蝿いのは。  その日、我妻善逸は一人、任務に出ていた。鬼の出たという集落は、驚くほどになんの変哲もないありふれた場所で、善逸は拍子抜けしてしまったほどだ。 しかし、よくよく耳を澄ませてみれば…

さあ、あの日の続きを始めようか。(tnzn)

 その邂逅は必然だった。 それ自体は偶然だが、こうなったこと自体は必然としか思えなかった。 何となく、いつも思っていた匂いが。 何となく、いつも感じていた音が。 目の前の偶然出くわした人間から感じられたのだから。 二人は目が覚めたような感覚…

知らず知る君を/知らず知る君へ(tnzn)

 脳裏にちらつくのは鮮やかな黄色、そして光を受けて輝く金色だった。 何を夢に見たのかは思い出せない。ただ、いつもの布団の上で目を開いた時に自然と涙がこぼれた。(どうして泣いているんだろう、俺) 当然の疑問だった。記憶の整理の定着を脳が行う、…

君のことが(tnzn)

「もっとこっちを見てほしい……のは我儘なんだろうな」 ボソリと善逸が呟いた。 それは彼らが二人、テレビを見ていた時だ。特に興味がある訳でもない恋愛もののドラマ、シーンはその時に修羅場を迎えていた。 女性が男性に申し訳なさそうに、嫉妬の感情を…